男の子なら誰でもプラモデル作りが好きなのだ。男の子なら野球が下手くそでもグローブを持っているものだ。
これは間違った価値観なのかもしれませんが、こういう事、私も含めて、古い昭和の男なら思いがちではないですか。
そして男の子なら誰でも釣りをするものだと。釣りが好きなのは男のDNAに刻まれているのだ!
少年なら誰でも釣りが好きなのだ!と思っていた
そんな私の勝手な先入観に基づき、会社の同僚に当たり前の様に釣りの話をし始めたら、あれ〜。
誰も乗ってこない。という事がありました。
全く釣りと接点なく生きて来た人も結構いるのだという事を思い知らされる私。
「ナマズ釣って何が面白いの?」なんて言われてしまった。
<そこに魚がいたら釣ってみたくなるのが男の子ってもんだろ!>と心で叫ぶ私。
私が小学生の頃、マンガ『釣りキチ三平』は、必読書だった。(はず)
そのエピソードの中に『毛鉤山人』という毛鉤作りの神様が出てきます。
その彼が渓流でテンカラ釣りをする時の奥義が、『石化け』という技?で川の流れの中にある石と同化して魚の警戒心を無くすという秘技です。
その『石化け』の術を出す時のセリフが「石にな〜れ、石にな〜れ」。
小学生のころクラスの5、6人で仙台新港によく、五目投げ釣りに行きました。
お得意の『岸壁から短い舟竿での投げ釣り』です。
シャコ、カレイ、メバル、ハゼなどが飽きない程度に釣れてきます。
仕掛けをぶっ込んで、糸を張ると、みんな「石にな〜れ、石にな〜れ…」を唱え始めます。
アルアルアル!
そう感じた人は同じ価値観をお持ちの同世代でしょう!
ハゼ釣りでも「石にな〜れ」。
フナ釣りでも「石にな〜れ」。
平野部で暮らすガキどもには、テンカラなんてものはマンガに中でしか見られない憧れの先にあるものでしたから。
その日も仙台新港でみんなで釣りです。
一番安いエサ、青イソメが無くなりかけた頃、帰り支度していた大人の釣り人のおじさんが余ったエサをくれました。
それは仙台周辺で言う「岩ゴカイ」を塩漬けにしたものでした。
こんなので釣れんの?
釣りエサは生きてウニョウニョしてこそ魚を誘うものでしょ?
そう思ったけれど、もうエサもないし、せっかく頂いたので、その干からびかけたシオシオゴカイを鍼に付けて「えいっ」とチョイ投げる。
そして決まりは「石にな〜れ、石にな〜れ…」みんなで「石にな〜れ、石にな〜れ…」
すると!なななんと竿先がググッと引き込まれ!
みんな「きたきた!上げろ上げろ」(アワセさえしらない少年達)
釣れたのは、その日の大物賞の『ソイ』でした。
「おーすげ〜」「やっぱり石にな〜れ、効くな〜」
エサを変えたのが良かったのかどうかは分かりません。
しかし、岸壁での『石化けの術』はその後もしばらく行われたのでした。